営業研修は、営業チームの成果を最大化し、組織全体の成長を促進するために役立ちます。しかし、適切な研修の目的設定や内容の選択、効果的な実施方法に関しては、多くの企業が悩みを抱えているのではないでしょうか。
本記事では、営業研修の目的や役職別の研修内容、困ったときに使えるおすすめのネタ5選を紹介します。これから自社で営業研修を実施したいとお考えの方に、営業研修の効果を高めるためのヒントをお届けします。
目次
営業研修の目的
営業研修の主な目的は、個々の営業成績の向上と組織全体の営業スキルの引き上げにあります。ここでは、2つの目的について詳しく解説します。
個々の営業成績を向上させる
個々の営業員の成績を向上させることは、営業研修の主要な目的のひとつです。営業成績の向上を目的とした研修では、営業スキルの向上、製品知識の深化、顧客とのコミュニケーション能力の強化を目指します。
研修では、効果的な交渉術やセールストーク、顧客ニーズの把握方法、顧客との信頼関係の構築などのスキルを磨くためのプログラムが提供されます。また、営業員が直面する具体的な課題や状況に対処するための戦略も併せて習得します。
組織全体の営業スキルを引き上げる
営業研修のもうひとつの目的は、組織全体の営業スキルを引き上げることにあります。組織全体として一貫した営業戦略を確立できれば、営業チーム全体のスキル水準を高められます。
組織全体の営業スキル引き上げを目指した研修では、営業チーム全体で共通した目標を持つ重要性の認識を深めたり、販売プロセスやアプローチ方法を学んだりしながらチームワークを強化します。
また、営業チーム全体で共通の課題や目標に取り組むことで、チーム内のコミュニケーションが促進され、組織全体としての営業効率が向上します。組織全体で営業スキルを向上させられれば、市場における競争力も高まり、企業としての利益拡大につながります。
【役職別】営業研修の内容
営業研修は、役職別に現状のスキルレベルに見合ったプログラムを提供することが大切です。ここでは、新入社員向け、若手~中堅社員向け、管理職向けの3パターンに分けて、営業研修の具体的な内容について解説します。
新入社員の研修内容
新入社員向けの営業研修では、基本的な営業スキルと企業文化への理解促進を目的としたプログラムを提供する必要があります。
研修内容は、製品知識の習得、営業プロセスの理解、顧客とのコミュニケーション方法、時間管理、目標設定など、営業職の基礎を幅広くカバーしましょう。
また、新入社員が自信を持って顧客と商談を進められるように、ロールプレイを通じた実践的なトレーニングも行うと効果的です。チームワークの重要性や法令遵守についても強調し、企業文化に合った営業スタイルを築くための基礎を形成することが求められます。
若手〜中堅社員の研修内容
若手から中堅社員向けの営業研修では、基礎スキルの強化に加え、より高度な営業戦略や顧客関係構築の技術が重点的に扱われます。
研修では、市場分析、競合分析、高度な交渉術、顧客ロイヤルティの構築、クロスセルやアップセル戦略など、成熟した営業職として求められるスキルを提供しましょう。
また、ケーススタディやプロジェクトベースの課題を通じて、実務に即した問題解決能力を養うことも重要です。さらに、顧客管理システム(CRM)の活用方法やデータ駆動型の営業戦略など、現代の営業環境に適応するためのデジタル技術を活用するスキルも強化する必要があります。
管理職の研修内容
管理職向けの営業研修では、個人としての営業スキルだけでなく、チームをマネジメントして成果を上げるためのリーダーシップとマネジメントスキルを身につけるためのプログラムを提供します。
研修においては、目標設定、パフォーマンス管理、モチベーション向上戦略、コーチング、チームビルディングなど、営業チームの生産性を最大化するための戦略を学べる内容が求められます。
また、戦略的思考や組織内コミュニケーション、意思決定プロセス、リスク管理といった、組織全体の営業方針と目標を定めるためのスキルを養える教材の提供も重要です。
おすすめの営業研修のネタ5選
営業研修の内容に困ったときは、実際の研修でよく用いられる事例を参考にプログラムを作成するのも方法のひとつです。ここでは、おすすめの営業研修のネタを5種類紹介しますので、ぜひ営業研修を行う際の参考にしてください。
共通点探しゲーム
「共通点探しゲーム」は、チームビルディングとコミュニケーションスキル向上に効果的です。このプログラムでは、受講者が数人単位のいくつかのグループに分かれて話し合い、限られた時間内に互いの共通点を見つけ出します。
共通点探しゲームは、営業チームがお互いをより深く知り、信頼関係を築くために役立ちます。共通点を通じて、異なる背景や経験を持つメンバー間の理解を促進し、よりオープンなコミュニケーションが取りやすくなります。
結果的にチーム内の連携を強化するだけでなく、実際の商談において顧客との関係構築にも応用が可能です。
リアクションとノーリアクション
「リアクションとノーリアクション」の研修は、営業スタッフが顧客の反応を正確に読み取り、適切に対応する能力を養います。
この研修は、受講者がシナリオに基づいてさまざまな顧客を演じ、ペアになった相手の反応によって適切な対応を取る形で進められます。
例えば、ペアになった受講者の片方が「商品に興味を持っている顧客」や「商品の効果に懐疑的な顧客」などの役を演じ、一方の受講者が購入に結びつけるための営業戦略を提案します。
リアクションとノーリアクションを通して、参加者は顧客の言葉や非言語的情報を読み取る能力や、目の前の課題を適切に乗り越えるための課題解決力を向上させることができます。
グループディスカッション
グループディスカッションは、営業研修において多角的な視点からアイデアを出し合い、議論を深めるための効果的な手法です。参加者は特定のテーマや課題についてグループで議論し、解決策や提案を共同で考え出します。
グループディスカッションによって、批判的思考や問題解決の能力を養うとともに、チーム内コミュニケーションを促進できます。
実務においては、営業スタッフが顧客からの質問や目の前の課題への対処が必要な場面で、部門内で協力して課題解決する際に役立ちます。
ロープレマラソン
ロープレマラソンは、長時間にわたってさまざまな営業シナリオをロールプレイする研修です。ペアになった受講者の片方がさまざまな背景を持つ顧客を演じ、もう片方の受講者は、都度、異なる営業戦略やアプローチを試みます。
ロープレマラソンは、実際の営業場面をなぞり、受講者が繰り返し商談の練習を行うことで、対人スキルやセールストーク、製品知識を強化する効果が期待できます。
また、疑似顧客からの即興の質問や意見に対応することで、受講者の課題解決力や柔軟性を鍛えられます。
ヒアリングワークショップ
ヒアリングワークショップは、顧客のニーズや問題点を正確に把握するためのヒアリング力向上を目的とした研修です。研修においては、主に効果的な質問技法やアクティブリスニング、顧客の潜在的な要望を引き出す方法などを学びます。
また、ヒアリングワークショップでは、顧客との信頼関係構築の重要性についても学習します。顧客との関係構築の重要性を学ぶことで、重要性は顧客中心の営業スタイルを身につけられます。
営業研修の実施方法
営業研修の実施方法には、主に集合研修、オンライン研修、eラーニングの3種類があります。ここでは、3つの営業研修の特徴やメリットについて解説します。
集合研修
集合研修は、受講者が同じ場所に物理的に集まり、対面で学習する形式です。
集合研修の主なメリットは、リアルタイムで受講者同士が相互にコミュニケーションを取れる点や、講師からその場でフィードバックを受けられる点にあります。
研修中、受講者は他のメンバーや講師と直接コミュニケーションを取りながら、ロールプレイ、グループディスカッション、ワークショップなどのプログラムに参加します。これにより、対人スキルの向上やチームワークの促進が期待できます。
ただし、集合研修では、会場の確保や受講者の移動、設備の手配、講師の採用など、実施にあたって多くの物理的、組織的準備が必要です。また、地理的な制約や受講者のスケジュールの調整が大きな課題となる場合があるため、実施の際は入念な計画を立てることが求められます。
集合研修については、下記の記事でも詳しく解説しています。
集合研修とeラーニングのメリットや効果を最大化するポイントを解説
オンライン研修
オンライン研修は、インターネットを通じて実施される営業研修で、地理的な制約を超えてどこからでもアクセスできるというメリットがあります。場所を選ばず柔軟なスケジューリングが可能であり、遠方にいる従業員でも移動の負担を感じずに参加できます。
オンライン研修では、ウェビナーや動画による講義配信など、さまざまな教材が利用されます。従業員は自宅やオフィスから指定の教材にログインして講義を視聴し、オンラインフォーラムやチャットを通じて講師や他の受講者とも交流できます。
しかし、参加者のエンゲージメントを維持しにくい点や、ネットワーク接続の問題が発生する可能性がある点は課題になりがちです。効果的なオンライン研修を実施するには、魅力的なコンテンツと、受講者を惹き付ける要素を用意する必要があります。
オンライン研修については、下記の記事でも詳しく解説しています。
オンライン研修とeラーニングの違いとは?研修効果を高める方法3選を紹介
eラーニング
eラーニングは、インターネットを通じて提供される自己主導型のオンライン学習プラットフォームです。さまざまな分野で利用されており、営業研修においても商品の知識を身につける際に有効な手段となり得ます。
テキストや静止画、動画教材、クイズ、シミュレーション、ケーススタディなどの多種多様な学習教材を提供でき、個々のペースで学習を進められるというメリットがあります。
また、受講者の学習状況に合わせて繰り返し学習することで、より理解を深められるだけでなく、管理者側にとっても、進捗状況をリアルタイムで追跡してパーソナライズされたフィードバックを提供することが可能です。
eラーニングについて詳しく知りたい方は、下記の記事もご参照ください。
eラーニングの効果的な活用法と今すぐ取り入れられる実例4選を解説
効果的な営業研修にするためのポイント
効果的な営業研修を行うためには、現状の営業チームの課題を正しく特定することが大切です。また、営業スキルをプロセスごとに分解して課題に合わせた教育を行い、場合によってオンライン商談やインサイドセールスへの適応など、時代に合わせた方法で営業力を高めましょう。
ここでは、営業研修の効果を高めるために押さえておきたい6つのポイントを紹介します。
現状の営業チームの課題特定
営業研修を効果的に行うためには、営業チームにおける現状の課題を正しく特定することが大切です。チームメンバーからのフィードバックの収集や、過去の営業成績の分析、顧客満足度の調査などを行い、総合的に判断することが求められます。
課題を正確に把握することで、研修内容をチームのニーズに合わせてカスタマイズし、具体的な改善策を提供できます。また、課題特定のプロセスを通じて、営業チーム自身も自社の弱みと向き合えるため、研修への関心と参加意欲を高められます。
営業スキルをプロセスごとに分解し、課題に合わせた教育を行う
営業プロセスをステップごとに分解し、各段階で必要とされるスキルや知識を特定することは、効果的な研修を実施するために重要です。
例えば、リード生成、顧客へのアプローチ方法、潜在ニーズの発掘、提案書の作成、クロージング技術など、営業プロセスの各段階に応じた研修を行うことで、営業スタッフは自分の弱点を具体的に理解し、必要なスキルを段階的に身につけられます。
また、ロールプレイやケーススタディを通じて実践的な練習を行うと、学んだ知識を実際の営業活動に反映しやすくなります。
オンライン商談やインサイドセールスへの適応など、時代に合わせた営業力を高める
現代の営業活動は、デジタル化やリモートワークの普及により大きく変化しています。そのため、オンライン商談やインサイドセールスチームの設置、ソーシャルメディアを活用した営業アプローチなど、新しい営業手法への適応が営業チームには求められています。
営業研修においては、これらの新しい営業手法を理解し、効果的に活用するためのスキルや戦略を学ぶためのプログラムを設けましょう。
また、データ分析能力やCRMツールの使用方法など、デジタルツールを活用する能力も重視されます。時代の変化に応じた営業力を高めることで、営業チームはより幅広い顧客層に対応し、効率的な営業活動を展開することが可能になります。
研修を実施する目的を明確にする
営業研修をより効果的に実施するためには、研修の目的を明確にすることが欠かせません。目的が明確であれば、達成のために不可欠な研修内容をリストアップし、必要なリソースを確保し、期待される成果も正しく定義できます。
新製品の販売数を増やす、顧客満足度を向上させる、新しい市場への進出を図るなど、組織によって設定される目標はさまざまです。研修の目的が明確であればあるほど、実施後の評価が容易になり、営業チームのパフォーマンス向上に直結します。
対面とオンライン研修をハイブリッドにする
対面研修とオンライン研修を組み合わせたハイブリッド形式は、柔軟性とアクセスのしやすさを両立し、営業チームのさまざまな学習スタイルやニーズに合わせてより広範な知識とスキルを習得できます。
対面研修では、実際の商談シミュレーションやグループディスカッションを通じて、リアルタイムで講師からのフィードバックを提供できます。一方、オンライン研修では、スケジュールの柔軟性を確保し、個々のペースに合わせた学習や広範囲の教材へのアクセスを可能にします。
研修委託先の選定
営業研修を外部の専門機関に委託する場合、適切な研修委託先の選定が重要になります。事業者の選定にあたっては、実績や専門性、研修方法、過去のクライアントからの評価などを評価基準として考慮する必要があります。
また、研修の目的と内容が自社のニーズや営業チームの現状に合致しているか、カスタマイズ可能なプログラムを提供しているかどうかも確認しておきましょう。
費用対効果やアフターサポートの品質も、委託先を選定する際に考慮すべきポイントです。適切な研修委託先を選定することで、営業研修の効果を最大化し、営業チームのスキルアップと成果向上を図ることができます。
営業研修を行う上で必要な費用
営業研修を行う上で必要な費用は、外部委託する場合、自社で対応する場合、教材を使用する場合で大きく変わってきます。ここでは、3つのケースそれぞれで必要な費用について解説します。
外部委託する場合
外部委託での営業研修には、研修を主催する事業者に支払う講師料、研修プログラムの使用料、会場費や交通費などが含まれます。
費用は研修の規模、プログラムの内容、実施期間、受講人数によって大きく異なり、一人あたりの単価は数万円~数十万円と幅があります。より高品質な研修プログラムや、著名な講師に依頼する場合は、さらに費用が増加します。
研修の効果を最大化するためには、自社のニーズを正確に理解し、目標と合致する研修内容を提供している事業者を選定することが重要です。
自社で対応する場合
自社で研修を行う場合の費用には、社内で講師を務める従業員の人件費、研修資料の作成費用、必要に応じて研修会場のレンタル費用が含まれます。
社内のリソースを活用することで、外部委託に比べてコストを削減できる可能性があります。しかし、社内で品質の高い営業研修を提供するためには、適切な講師の選定や研修資料の開発が求められるだけでなく、まとまった時間と労力が必要となります。
研修を主催できるだけの十分な人材と労力を投入できるかどうかを検討し、自社で対応するかどうかを決めることが大切です。
教材を使用する場合
教材を使用する場合の費用には、教科書やオンライン教材、研修ツールの購入費用などが含まれます。
冊子などの市販のアナログ教材を使用する場合、一人あたりの費用は数千円から数万円程度になることが多いでしょう。オンライン教材を使用する場合は、ライセンス料や自社開発のための人件費、オンラインプラットフォームの導入費用などがかかります。
教材の選定に際しては、研修の目的に合致し、受講者の知識レベルに適した内容であるかどうかを確認することが重要です。
教材をカスタマイズする場合は市販のものをそのまま使用するより費用が高くなりますが、自社のニーズにより密接に寄り添った内容のものを作成できるという利点があります。
ハイブリッド形式の営業研修ならeラーニングの導入が効果的
営業研修を行うことで、個々の従業員の営業力を強化するとともに、組織全体の営業スキルを引き上げられます。営業チームの課題を特定し、対面とオンライン研修のハイブリッド形式を採用すると、より効率的かつ効果的な学習体験を提供できます。
オンライン研修には、どこからでも接続でき、自分のペースで学習できるeラーニングの採用が適しています。
研修にeラーニングを利用するメリットは次の通りです。
学習者
・インターネットを通じて、さまざまな形式の学習資料に気軽にアクセスできる
・個人の学習ペースに合わせて進行でき、確実に定着するまで何度でも繰り返せる
管理者
・受講者の進行状況を詳細に追跡し、必要に応じてパーソナライズされた個別サポートを提供できる
・教育コンテンツの集中管理により、最新情報への更新作業が容易になる
組織全体
・組織全体の効率向上と、競争上の優位性を持つための生産性の向上が期待できる
・高品質を確保した教育コンテンツを組織全域にわたって提供でき、一貫性のある教育が可能になる
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