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PIP-Maker TOP > ブログ > 2024年 > 3月 > 28日 > インストラクショナルデザインとは?メリットや代表的なモデルを解説

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インストラクショナルデザインとは?メリットや代表的なモデルを解説

教育の分野は日々進化しており、効果的な学習体験を設計するための「インストラクショナルデザイン」が注目を集めています。より効果的な教育モデルであるインストラクショナルデザインの活用は、目標達成に注力した教育手法を設計する上でさまざまなメリットがあります。
本記事では、インストラクショナルデザインの基本的な考え方や注目を集めている理由、4つのメリットや教育効果を最大化するために用いられる代表的なモデルについて詳しく解説します。

インストラクショナルデザインとは

インストラクショナルデザイン(Instructional Design)とは、組織に対し、効果的な教育プログラムや教材を設計するプロセスを指します。このアプローチでは学習者が組織目標達成のためのスキルを習得するためにこなすべきタスクを明確に定義し、その定義に基づいて最適な教育方法や教材を計画します。
インストラクショナルデザインの核心は、教育心理学やコミュニケーション理論などの知見を活用し、個々の学習者の関心や理解度に合わせたカスタマイズされた学習経験を提供することにあります。
カスタマイズされた学習教材の提供によって学習者一人ひとりの潜在能力を引き出し、効率的かつ効果的な学習を促進することで、より良い学習成果を実現するための重要な手段となります。

インストラクショナルデザインが注目を集める理由

インストラクショナルデザインが注目を集めている理由として、eラーニングの普及や教育水準のばらつきなどが挙げられます。ここでは、2つの観点からインストラクショナルデザインが注目されている理由を解説します。

eラーニングの普及

近年、eラーニングが急速に普及していることは、インストラクショナルデザインの注目度にも大きな影響を与えています。

eラーニング環境では、従来の対面式の教育手法とは異なり、オンラインプラットフォームを活用して学習が行われます。eラーニングでは学習者が自分のペースで学習を進めることが多いため、明確で理解しやすい学習目標や動機付けを促進する教材の設計、継続的なフィードバックとサポートシステムの提供が重要になります。

インストラクショナルデザインは、eラーニングに求められる複数の要素を統合し、効率的な学習経験を提供するための枠組みとして役立ちます。

eラーニングについて詳しく知りたい方は、下記の記事もご参照ください。
eラーニング活用のメリット・デメリットと7つの活用例を一挙紹介

教育にばらつきが出ていた

教育の質における地域や社会経済的な格差は、インストラクショナルデザインの重要性をさらに際立たせています。教育機会の平等を実現するためには、異なる背景を持つ学習者が気軽にアクセス可能で、かつ一人ひとりのニーズに応じた教育を提供することが求められます。
インストラクショナルデザインは、多様な学習スタイルや能力に対応するためのカスタマイズされた教材の開発や、個別化された学習計画の策定に役立ちます。

インストラクショナルデザインの5つのメリット

インストラクショナルデザインのメリットとして、実務を重視した研修を展開しやすい点や、目標達成に注力した教育手法を設計できる点が挙げられます。

また、受講者のモチベーションを高めやすくなり、より効率性の高い教育コンテンツの開発につながるというメリットもあります。

業務の生産性が向上する

インストラクショナルデザインの本質は、教育プログラムを通じて生産性の向上を実現することにあります。

前述のように、インストラクショナルデザインによるアプローチでは、個々の従業員のスキルや能力を詳細に分析し、必要な知識や技能を効率的に習得できる教育内容を計画します。

結果として、従業員は新たなスキルをより迅速に身につけ、業務に活かすことができます。このプロセスにより、作業の質と速度が向上し、企業全体の生産性が高まるのです。

実務を重視した研修を展開できる

インストラクショナルデザインを活用すると、実務に直結するスキルや知識の習得を重視した教育コンテンツの設計が可能になります。理論だけでなく実践的なスキルの習得に焦点を当てることで、実際の職場で応用しやすい知識が身につきます。

例えば、特定の業務に必要な技術や手法を学ぶ際、インストラクショナルデザインを用いることで、具体的なシナリオやケーススタディに基づいたトレーニングが可能となり、学習者は実際の職場環境に即した状況でスキルを高められます。

目標達成に注力した教育手法を設計できる

インストラクショナルデザインを採用すると、具体的な学習目標の達成に重点を置いた教育プログラムを作成しやすくなるというメリットもあります。

明確に定義した学習目標に基づいて適切な教材や評価方法を選定することで、教育プログラムが学習者にとってより高い成果をもたらすよう設計され、目標達成に向けた効率的なプロセスを提示できます。

例えば、特定の資格取得や職業技能の向上といった明確な目標に対して、対応するスキルセットを効果的に習得できるようなカリキュラムを作成可能です。

学習者のモチベーション向上につながる

インストラクショナルデザインは、学習者のモチベーション向上にも大きく貢献します。学習者が関心を持ちやすい内容や、自身の成長に直結する教材を選定することで、学習意欲を刺激し、積極的な学習姿勢を促します。

また、インタラクティブな教育方法やゲーム要素を取り入れることで、学習者の興味・関心を高め、新しい知識やスキルを習得する過程により興味を持たせやすくなります。

例えば、進捗に応じて報酬が得られるシステムや、学習者同士の競争を促す要素を取り入れると、学習者の参加意欲を高められます。

時間とコストの効率化を図る研修プログラム

インストラクショナルデザインは、教育プログラムの時間とコストの効率化にも寄与します。インストラクショナルデザインのモデルを活用することで、不要な教育コンテンツの削減、効率的な学習プログラムの提供、必要な教材の選定がスムーズに行えます。

これにより、学習者は必要最小限の時間と労力で最大の学習成果を得ることができ、教育機関や企業側もコスト効率の高い教育コンテンツを提供することが可能になります。

下記の記事では、人材育成の効率化について詳しく解説しています。
人材育成のよくある課題と企業の成長につながる3つのポイントを解説

インストラクショナルデザインの代表的なモデル

インストラクショナルデザインにはさまざまなモデルがありますが、代表的なものとしては次のようなものが挙げられます。

・ADDIEモデル
・TOTEモデル
・ARCSモデル
・メリルのID第一原理
・ガニェの9教授事象

ここでは、上記の5つのモデルについて詳しく解説します。

ADDIEモデル

ADDIEモデルは、Analysis(分析)、Design(設計)、Development(開発)、Implementation(実施)、Evaluation(評価)の5つの段階から成り立っています。

最初の「分析」段階では、学習者のニーズや背景、学習目標を詳細に分析します。次に、「設計」段階で具体的な学習目標や教材、学習活動を計画します。

その後、「開発」段階で設計に基づいた教材やプログラムを作成し、次の「実施」段階で作成した教材を学習者に提供します。

最後の「評価」段階では、実施したプログラムの効果を測定し、必要に応じて改善を行います。ADDIEモデルはその柔軟性と包括性から、さまざまな教育環境で活用されているモデルです。

TOTEモデル

TOTEモデル(Test-Operate-Test-Exit)は、「Test」と「Operate」を繰り返すアプローチです。

最初に「Test」(テスト)段階で学習目標に対する現状評価を行い、次に「Operate」(操作)段階で学習者が実際に学習活動を実施します。

その後、再び「Test」段階で学習成果を評価し、目標が達成された場合は「Exit」(終了)段階へと移ります。このサイクルを、学習目標が達成されるまで繰り返すのがTOTEモデルの特徴です。

ARCSモデル

ARCSモデルは、学習者のモチベーションを高めることに焦点を当てたモデルで、Attention(注意)、Relevance(関連性)、Confidence(自信)、Satisfaction(満足)の4つの要素に基づいています。

学習者の注意を引きつけ、その学習内容がなぜ重要なのかを提示して、学習者が自信を持って学習に取り組めるように支援し、学習過程や成果に対する満足感を提供する4つのプロセスが求められます。

ARCSモデルは、オンライン学習や自己主導型学習において特に効果的です。

メリルのID第一原理

メリルの「ID(Instructional Design)の第一原理」は、効果的な学習経験を設計するための基本原則を提供するモデルです。

学習者が現実の問題を解決すること、新しい知識を既存の知識と結びつけること、学習材料がプログラムの進行とともに少しずつ難しくなること、学習者が学習内容を実践する機会を持つことなどが含まれます。

メリルのID第一原理では、学習者が能動的に学習に参加し、実践的なスキルや知識を効果的に習得するための枠組みを提供します。理論だけでなく、実際に現場で活用できるスキルを習得できるようにすることを目的としています。

ガニェの9教授事象

ガニェの「9教授事象」は、教育プロセスを構成する9つのステップを示したモデルです。

これらのステップには、次の要素が含まれます。

1. 学習者の注意を引く
2. 学習目標を提示する
3. 学習者の既存の知識を活用する
4. 新しい内容を提示する
5. 学習者に実践の機会を提供する
6. 学習成果をフィードバックする
7. 学習成果の評価を行う
8. 学習の継続性を保つ
9. 学習成果の転移を促進する

ガニェのモデルは、教育者が効果的な教授計画を立て、学習者に包括的な学習経験を提供するための指針となります。

学習者が研修プログラムに求めているもの

学習者が研修プログラムに求めているものは、モチベーションを高める学習環境やいつでもアクセス可能な自由度の高い学びの場などさまざまです。ここでは、研修プログラムを作成する際に重要な6つのポイントを解説します。

モチベーションを刺激する学習環境

学習者は、モチベーションを高める学習環境を求めています。刺激的で興味を惹きつける教育コンテンツの存在は、学習者が新しい情報を吸収し、スキルを習得するための意欲を高めます。
例えば、対話型セッション、グループディスカッション、実践的なワークショップなどの研修プログラムは、学習者の参加を促し、学習過程において積極的な役割を果たすよう促します。

いつでもアクセス可能な自由な学び

学習者は、時間や場所に制約されない自由な学習環境を重視しています。eラーニングをはじめとしたオンラインプラットフォームや、スマートフォンからアクセスできるモバイルアプリは、忙しい日常の合間を縫って学習を続けることを可能にするため、需要が高いと考えられます。
オンラインプラットフォームを有効活用することで、学習者は自分のペースで学び、個人のスケジュールに合わせて学習プログラムに参加できます。柔軟性の高い学びの場は、特に仕事と学習を両立させる必要がある学習者にとって重要です。

効率的な短期集中型学習

学習者の中には、時間を最大限に活用するために短期集中型の学習プログラムを好む人もいます。このタイプのプログラムは、短時間で集中的に学習することを可能にし、迅速にスキルや知識を習得することを目指します。
短期集中型学習は、通常業務のために学習時間が限られている学習者にとって魅力的であり、非常に効率的な学習法です。

視覚的学習を促進する動画教材

動画などの視覚的な要素を取り入れた教材は、学習体験を豊かにし、理解を深めるのに役立ちます。動画教材は、複雑な概念や手順を視覚的に示し、学習者にとって理解しやすい形で情報を提供できます。
インタラクティブな動画やシミュレーションは、理論的な知識を実践的なスキルに変換するのに特に有効です。また、動画は学習者の注意を引きつけ、学習内容に対する興味を高める効果があります。

パワーポイントを使った動画教材の作成方法について詳しく知りたい方は、下記の記事もご参照ください。
パワーポイントでマニュアル動画を作成するメリットと実際の作り方を徹底解説

実践的スキルに焦点を当てた教育コンテンツ

学習者は、実践的なスキルを提供する教育コンテンツを求めています。理論的な知識よりも、実際の職場や日常生活で直接応用できるスキルに価値を見出す人は少なくありません。
実践的スキルの例として、職業固有の技術、問題解決の能力、対人スキルの向上などが挙げられます。実践的なスキルを重視することで、学習者は学んだことを直接自分の仕事や日常生活に適用できると感じ、学習に対する満足感が高まります。

徹底的な分析と的確な評価

学習者は、自身の学習成果に関する詳細な分析と的確な評価を求めています。進捗の追跡、弱点の特定、改善のためのフィードバックを得ることで、より効果的な学習と知識の定着につながります。
的確な評価は、学習者が自身の進歩を把握し、学習目標に向けてどの程度進んでいるかを理解するのに役立ちます。また、定期的な評価は、学習者が自分自身の学習プロセスを反省し、必要に応じて学習戦略を調整する機会を提供します。

下記の記事では、効果的なマニュアルの運用方法について解説しています。
業務標準化を叶えるマニュアルの運用ルールとは?6つのコツを解説

インストラクショナルデザイン活用に役立つシステム

インストラクショナルデザインを活用するにあたって、LMS(学習管理システム)やタレントマネジメントシステムが役立ちます。ここでは、それぞれのシステムの特徴について解説します。

LMS(学習管理システム)

LMS(Learning Management System、学習管理システム)は、教育コンテンツの作成、配信、追跡を一元管理するプラットフォームで、インストラクショナルデザインの実現において特によく利用されます。

LMSを使用することで、教育者は教育コンテンツを簡単に作成し、学習者に提供できます。また、学習者の進捗状況や成績をリアルタイムで追跡し、個々のニーズに合わせたフィードバックを提供することも可能です。

また、動画教材、クイズ、議論用の掲示板など、多様な学習ツールを組み合わせて、包括的な学習経験を提供できる点も特徴的です。

LMSについては、下記の記事でさらに詳しく解説しています。
LMS(学習管理システム)とは?eラーニングとの違いや選定のコツを解説

タレントマネジメントシステム

タレントマネジメントシステムは、従業員のスキル開発とキャリア進展を支援するために設計されたシステムで、特に企業におけるインストラクショナルデザインの活用に役立ちます。
タレントマネジメントシステムを利用すると、企業は従業員の学習ニーズを特定し、求められている研修プログラムを的確に提供できます。また、従業員のスキル習得の進捗を追跡し、キャリア開発に必要なステップを明確にすることも可能です。
個々の従業員の能力や成果に基づいてパーソナライズされた学習計画を作成することで、従業員は自分のキャリア目標や興味に合わせて学習を進めることができ、企業は効果的な人材育成を行えます。
タレントマネジメントシステムについては、下記の記事でさらに詳しく解説しています。
タレントマネジメントについて
タレントマネジメントの目的
タレントマネジメントの戦略的展開:具体的施策とその運用【第3回】

インストラクショナルデザインの採用で効果の高い教育コンテンツの提供を実現

インストラクショナルデザインの活用により、効果的な教育コンテンツの設計に近づきます。

学習者のモチベーションを維持するためには、関心を惹きつけるコンテンツの導入が重要です。クイズやインタラクティブな動画など、参加型の教材がその一例です。

特に、パワーポイントを用いた動画教材は、効率性と高い学習成果のため、学習者と教育担当者の双方におすすめです。

パワーポイントを活用した動画教材のメリットとしては、次のようなものがあります。

学習者

視覚的な要素に優れている:動画は視覚的な要素が豊富で、実際の作業プロセスや手順をリアルタイムで示すことができるため、学習者は情報を直感的に理解しやすくなります。
自分のペースで学習できる:動画はいつでもアクセス可能で、何度でも繰り返し視聴できるため、学習者は自分の理解度やペースに応じて学習を進めることができます。

管理者

教育プログラムの準備時間削減:動画を利用することで、教育プログラムの準備時間と労力を大幅に削減できます。一度作成すれば、何度も使用できるため、教育資料の作成にかかる時間を短縮できます。
進捗状況を管理しやすい:動画コンテンツの視聴状況を追跡することで、学習者の進捗や理解度を簡単に把握できます。

会社全体

コスト削減につながる:動画は一度作成すれば繰り返し利用できるため、長期的に見れば教育コストの削減につながります。また、動画をオンラインで配信することで、物理的な教材の印刷や配布にかかるコストを削減できます。
スキルの習得と生産性の向上:動画を活用することで、従業員はより効率的に必要なスキルを習得できます。これにより、従業員のパフォーマンスが向上し、結果として組織全体の生産性が高まります。

パワーポイントのスライドを使って動画教材を作成するなら、「PIP-Maker」が便利です。既存のパワーポイントファイルをアップロードするだけで、手軽にeラーニング用の教材を製作できます。
さらに、アバターやナレーション、多彩なアニメーション機能を利用することで、教材の魅力を高め、学習者の理解を深めることが可能です。

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