近年ではインターネットを通じて研修プログラムを提供するオンライン研修が広まってきており、LMSと呼ばれる教育システムを使った「eラーニング研修」を実施する企業も増えてきました。
しかし、オンライン研修とeラーニング研修が具体的にどのように異なるのか、よく分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで本記事では、オンライン研修とeラーニングの違いや、それぞれのメリットとデメリット、研修効果を高めるための4つの方法について解説します。
目次
eラーニング研修とは
eラーニング研修とは、インターネットを利用して提供される教育プログラムを、「LMS」と呼ばれるシステムを通じて配信する形式の研修です。
eラーニングの受講者は、自宅や職場など好きな場所から、コンピューターやタブレットを通じて専用の学習プラットフォームにアクセスできます。プラットフォームには、動画やクイズ形式の学習教材などさまざまな形式の教材が用意されており、受講者の任意のペースで教材を利用して必要な知識やスキルを習得できます。
eラーニング研修は時間や場所に制約されないため、柔軟に学習スケジュールを調整できるのが大きなメリットです。また、進捗状況の追跡や評価も容易であり、個別の学習成果を効果的に管理できるのも魅力です。
eラーニングについてさらに知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
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オンライン研修とは
オンライン研修は、インターネットを通じて行われる遠隔教育プログラムの一種ですが、eラーニングとは違い、基本的にリアルタイムで講義に参加する形式が取られます。受講者は、所定の受講時間になると、自身のコンピューター、タブレット、スマートフォンなどの端末から特定のオンラインプラットフォームやウェブサイトにアクセスして研修に参加します。
eラーニングに比べてリアルタイム性が高いため、疑問点を講師にその場で質問したり、他の受講者とインターネットを通じてグループディスカッションしたりする必要がある講義に向いています。
オンライン研修とeラーニングの目的の違い
オンライン研修とeラーニングの目的の違いとして、下記のようなものが挙げられます。
オンライン研修の目的 | eラーニングの目的 |
---|---|
・遠隔地にいる受講者に対して、柔軟かつ効率的な学習の機会を提供する ・インターネット環境を通じてリアルタイムかつ双方向性の高い講義映像を配信する |
・個々の学習者が自分のペースで、必要な知識やスキルを習得できるようにする ・受講者が主体となって学習を進められる教材の提供 |
ここでは、それぞれの目的の違いについて詳しく解説します。
オンライン研修の目的
オンライン研修の主な目的のひとつは、遠隔地にいる受講者に対して、柔軟かつ効率的な学習の機会を提供することです。地理的な制約や時間的な制限があり、リアル会場に集まって研修を開催することが難しい場合でも、オンライン研修であれば柔軟な開催時期の調整が可能です。
オンライン研修においては、リアルタイムのウェビナーや、講師と受講者が双方向にやり取りできるオンラインセッション、ビデオ会議システムなどを利用して、参加者が直接的にコミュニケーションを取れるような仕組みになっています。
遠方から受講する人手も、現実の職場環境や業務に即して必要な知識やスキルの効率的な学習が可能です。グループディスカッションやチームでの演習も可能なため、内定者研修や全国に散らばる社員の集合研修などにも適しています。
eラーニングの目的
オンライン研修がリアルタイムで開催される一方、eラーニングはあらかじめ用意された教育プログラムに受講者が自主的にアクセスして学習を進めます。そのため、eラーニングの主な目的は、個々の学習者が自分のペースで、必要な知識やスキルを習得できるようにすることにあります。
eラーニングの場合も、オンライン研修と同様に時間的な制約や地理的なハードルを克服し、個人がどこからでもアクセスできる柔軟な学習環境を提供できるという利点があります。加えて、eラーニングは個々の学習状況の管理が容易なため、より受講者一人ひとりに寄り添ってカスタマイズした学習を提供できる点がメリットです。
eラーニングは、個人の自主性を尊重した個人的なキャリア開発を目的とする学習に特に適しています。
eラーニング活用のメリットとデメリットについては、こちらの記事もご覧ください。
eラーニング活用のメリット・デメリットと7つの活用例を一挙紹介
オンライン研修のメリット・デメリット
前項でオンライン研修の目的を簡単に紹介しましたが、より詳しいメリットを見ていきましょう。また、メリットと同時に考慮しなければならないデメリットについても解説します。
オンライン研修のメリット
オンライン研修の最大のメリットは、その柔軟性とアクセシビリティです。受講者は地理的な制約に縛られず、どこにいても研修に参加できるため、多忙であっても実務の合間の隙間時間を利用して効率的に学習を進められます。
全国各地に拠点がある企業で集合研修を実施したい場合などに、オンライン研修の開催は特に大きなメリットがあります。
また、オンライン研修は物理的な会場のレンタル費用や講師の交通費・宿泊費を必要としないため、コスト削減にも役立ちます。
オンライン研修のデメリット
オンライン研修には、いくつかのデメリットもあります。よく課題として挙げられるのは、対面研修に比べて個人間のコミュニケーションが限られがちな点です。
対面で行われる集合研修では、グループワークやロールプレイによるチームのコミュニケーションや、講師からの直接的なフィードバックが容易ですが、オンライン環境で同様の教育体験を実現するのは難しいこともあります。
また、一部の受講者にとっては、インターネット接続の不安定さや技術的スキルの不足など、デジタル環境の不備がある場合に学習体験に悪影響が出る可能性があります。
eラーニング研修のメリット・デメリット
eラーニング研修にも、メリットとデメリットの2つの側面があります。ここでは、eラーニング研修のメリットとデメリットについて解説します。
eラーニング研修のメリット
eラーニング研修の大きなメリットは、オンライン研修と同様に場所や時間に縛られずに学習が可能である点と、自分のスケジュールに合わせて任意の時間に学習資料にアクセスし、自己ペースで進めることができる点の、主に2つです。
業務が忙しく研修に費やすためのまとまった時間を確保できない人や、出張や移動が多くオフィスを空けることが多い人などにとって、個別に自分のペースで学習を進められるeラーニング研修を利用した学習は特に効果的です。
さらに、教材を提供するためのLMSは進捗追跡やパフォーマンス評価のための機能を備えており、個々の学習進度の管理や成果の確認が容易です。このことから、自信に不足している知識やスキルを効率的に身につけられます。
eラーニング研修のデメリット
一方で、eラーニング研修にはいくつかのデメリットもあります。特にeラーニング研修は自律的な学習を基本としているため、受講者は孤立感を感じやすく、モチベーションの維持が難しくなりやすいという課題が挙げられます。
また、自己管理能力が不足している受講者にとっては、学習を継続することそのものが困難になることもあります。疑問点をすぐに質問しにくい環境が学習のハードルになるケースもあるため、質問しやすいサポート体制の構築や、要点を押さえた学びやすい学習プログラムの作成が必要不可欠です。
下記の関連記事では、eラーニングの活用法や導入時のポイントについて詳しく解説しています。
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研修をさらに効果的にするための3つのアイデア
研修をさらに効果的にするためには、複数の研修をうまく併用したり、個別の習熟度を管理者側が適切に把握して最適なサポートを提供したりすることが大切です。
また、実際の職場環境に合わせた教材の提供も、受講者のモチベーション維持と活用しやすいスキルの獲得のためには重要です。ここでは、研修の効果を高めるための3つのアイデアを紹介します。
複数の研修をうまく併用する
研修を実施する際は、1つの研修だけでなく、オンライン研修、集合研修、eラーニングなど複数の研修を組み合わせることで、効果を最大化できます。
前述のように、オンライン研修はリアルタイムの交流や即時的なフィードバックが可能であり、特に対話や協力を必要とするスキルの習得に有効です。一方、集合研修は、受講者が実際に対面してコミュニケーションを取ったりグループワークを行ったりできるため、チーム内の関わりを深める効果が期待できます。
また、eラーニングは受講者自身のペースでの学習を提供し、理論知識や特定のスキルの習得に適しています。これらの異なる研修方法を組み合わせることで、参加者は多様な学習スタイルと環境で幅広い知識とスキルを身につけることができ、より包括的な学習体験が可能になります。
例えば、eラーニングで事前知識を学んだ後、オンライン研修で理解を深め、集合研修でグループワークを実施してより実践的なスキルを習得するなど、それぞれの長所を取り入れることが重要です。
集合研修とeラーニングのメリットや効果を最大化するためのポイントについては、下記の記事もご覧ください。
集合研修とeラーニングのメリットや効果を最大化するポイントを解説
個別の習熟状況を把握して対応する
研修の効果を高めるためには、参加者一人ひとりの習熟度や学習スタイルを把握し、個別に対応することが重要です。定期的な学習状況の評価やフィードバックを通じて、各受講者の理解度や進捗を評価し、必要に応じて個別のサポートや追加の学習資料を提供しましょう。
個別ニーズに寄り添ったアプローチを実現できれば、受講者は自身の弱点を的確に把握でき、学習効果をさらに引き出すことができます。
また、学習の進捗に応じて管理者側が学習プログラムの内容を調整したり、追加の資料を提供したりすることで、参加者一人ひとりの遅れを招くことなく組織全体のスキルの底上げを図れます。
実際の職場環境に合わせた教材を作成する
研修の内容を実際の職場環境や業務に合わせてカスタマイズすることで、学習内容の実用性と関連性をさらに高めることができます。
実際の業務に即したケーススタディやシミュレーションを取り入れることで、受講者はオンライン研修やeラーニングから学んだ知識やスキルを直接仕事に応用し、自身のキャリアに活かしたり生産性を高めたりしやすくなります。
また、実務に関連する教材は、受講者のモチベーションを高め、学習の意義を実感させる効果があります。このように、実際の職場環境に根ざした研修は、参加者の学習意欲を刺激し、実務でのスキルの適用を促進します。
オンライン研修とeラーニングの違いを正しく理解し、一人ひとりにとって最適な教材を提供しよう
オンライン研修とeラーニングの違いを理解し、一人ひとりにとって最適な教材を提供することは、教育の効果を高める上で重要なポイントです。
オンライン研修は、リアルタイムでの対話と協力を重視し、受講者間の直接的なコミュニケーションを促進する役割を持ちます。一方、eラーニングは、自己ペースでの学習や個別の学習スタイルに合わせた教材提供を目的としており、柔軟性とアクセシビリティを重視しています。これらを活用することで、下記のようなメリットがあります。
管理者側へのメリット
・受講者の学習スタイルやニーズに合わせた教育を提供できる
・オンライン研修とeラーニングの組み合わせにより、より広範な教育内容を網羅できる
受講者へのメリット
・自分に合った学習方法で効率的に知識を吸収できる
・複数の研修方法を併用することで、リアルタイム性の高い学習と自己主導型学習のバランスを取ることができる
組織全体のメリット
・教育効果の最大化により、全体のスキルアップと生産性向上を促進できる
・多様な学習ニーズに対応することで、従業員の満足度とエンゲージメントを高められる
受講者のモチベーションと学習効果を最大化するためには、動画マニュアルやインタラクティブな教材の活用が効果的です。オンライン研修やeラーニング用の教材には、動画を利用するのがおすすめです。
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