ネスレ日本株式会社様は、ネスレ S.A.の日本法人として1913年に創業し、今年(2024年現在)で111周年を迎える歴史ある食品飲料メーカーです。
本記事では、コンタクトセンターのトレーニングにPIP-Makerをご活用いただいている、マーケティング & コミュニケーションズ本部 コンシューマーリレーションズ部 サテライトオフィス & トレーニングユニット ユニット マネージャーの氏家 佳子様に、国内外10拠点にあるコンタクトセンターでのPIP-Maker導入のきっかけや、動画教材を使ったトレーニングの品質向上の工夫についてお話をうかがいます。
はじめに、貴社のご紹介と担当されている業務についてお聞かせください。
ネスレは、スイスに本社を置く世界最大の食品飲料メーカーで、「ネスカフェ」「キットカット」などのグローバルブランドからローカルブランドまで、世界188ヶ国で2,000以上の製品を販売しています。ネスレ日本は、1913年に日本支店として横浜に開設され、1922年、現在の本社である神戸に移転。その後、100年以上に渡り、コーヒー、食品、栄養補助食品、チョコレート、ペットケア製品などのさまざまな製品を日本の皆さまにご提供しています
マーケティング&コミュニケーションズ本部 コンシューマーリレーションズ部は、消費者と直接コミュニケーションするコンタクトセンター(弊社ではコンシューマーエンゲージメントサービスセンターと呼んでおります)を運営管理する部署です。その中で、私の所属するサテライトオフィス&トレーニングユニットは、お客様応対のクオリティを向上するための研修を開発しており、主に消費者コミュニケーションを担当するスタッフのトレーニングツールとしてPIP-Makerを活用しています。
コンタクトセンターのトレーニングに動画ツールを活用しようと思ったきっかけをお聞かせください。
当社では、直接消費者とつながる相談窓口に対し、パートナー企業3社を含む社内外10拠点(日本全国とタイのバンコク)でコンシューマーエンゲージメントサービスセンターを運営しています。
特にパートナー企業のスタッフ(弊社ではブランドアンバサダーと呼んでおります)は、年齢や立場、勤務時間もさまざまです。その為、対応品質の向上・平準化をはかるには、定期的かつ効果的な研修が欠かせません。しかし、コロナ禍で在宅勤務が増えたことで、集合研修など対面でのコミュニケーションが難しくなってしまいました。
初めはこれまで使っていた教材で自習してもらっていたのですが、それだけでは、なかなか効果が上がりませんでした。また、直接コミュニケーションが取れないので、受講者の知識の定着度をはかることも困難でした。そこで、非対面のトレーニングに動画教材を活用することにしました。
PIP-Makerを選ぶ決め手になった点をお聞かせいただけますか?
導入に際しては、他社の動画制作ツールや動画制作会社なども検討しました。重視したのは、制作に時間や手間がかからないこと、そして、ただ視聴するだけの一方通行にならない動画作成が可能なことです。何より、パワーポイントで作成した既存のトレーニング教材を活かしたいという思いがありました。
制作会社による動画は、どうしても制作から納品までに時間がかかってしまいます。そして、一度撮影してしまったものは修正が困難です。その点、PIP-Makerなら既存資料をそのまま動画化できますし、修正が発生してもパワーポイントを直すだけで済みます。また、動画内でハイパーリンク機能を使った簡易テストもできるので、一方通行にならず、受講者の理解向上や知識の定着にもつながります。
実際の導入前に、「資料を読む」「PIP-Makerの対話型動画を視聴する」という2パターンでABテストを行いました。当社では、お客様満足度スコアを取っているのですが、元々スコアの高い人にはあまり変化が無かったものの、これまでスコアが振るわなかった人は、PIP-Makerの動画視聴後に格段に理解度が上がりました。この結果や、前述の当社の要望にマッチしたことから、PIP-Makerの導入に踏み切ったのです。
トレーニングでのPIP-Makerの活用法や工夫されている点を教えていただけますか?
さまざまな試行錯誤を繰り返して分かったことは、「人間の集中力が続くのは、最長で15分まで」ということです。これまでの研修は、だいたい1~2時間と長編だったのですが、パートナー企業のコンシューマーエンゲージメントサービスセンターにはパートタイムの主婦の方も多く、そもそも研修のために長い時間を取ることが出来ません。また、勤務時間の都合でこれまで研修を受けたことが無いという方もいらっしゃいました。
そこで、そういう方でも隙間時間に受講してもらえるよう、例えば、1つのテーマを各15分で視聴できる対話型動画(アバター2体が対話)を作りました。コンテンツ内容には、パワーポイントのハイパーリンクを使って途中に簡易テストを入れたり、最後のアンケートの中に、数分でできる理解度確認テストを入れるなどの工夫を凝らしました。
それだけではなく、研修後の振り返りシートで自身の体験に基づいた考えを書いてもらっています。コンタクトセンター業務はお客様との良好な対話で成り立つので、動画の中の対話を自分事のように感じられるPIP-Maker対話機能がロールプレイングの役割を果たしてくれます。
さまざまな取り組みをされていらっしゃいますが、実際の効果はいかがだったでしょうか?感想をお聞かせください。
本当に試行錯誤の繰り返しで、この形になるまでに1年かかりました。ですので、受講者の主婦の方から「各15分だったので、初めて研修に参加できました!」という感想をいただいた時はとても嬉しかったです。15分という短い時間で受けたい時に繰り返し学べることで、受講のハードルが下がったのだと思います。
定期的に受講状況をレポーティングしているのですが、この運用になって全員が受講してくれるようになりました。受講率が向上し、非対面研修の課題であった理解度チェックが行え、かつログ管理機能で進捗も追える。これがPIP-Maker導入の大きな利点だったと感じています。
当部の他にも、営業部門で社内向けのマニュアルに使われていたり、また法務部や製造本部では、専門的な知識の補足が必要な場合の説明を動画化しイントラネットなどに掲載することで、社員が必要なときに確認できるようになりました。
しかし、全ての動画にPIP-Makerを使っているわけではありません。内容だけでなくイメージや世界観を重視する必要があるものなどは外注しています。その場合でも、PIP-Makerでの成功例を元に各単元15分を数本組み合わせる構成で作るようになりました。このように、各ツールやサービスの特性を活かし、適材適所で使い分けをしています。
最後に、コンタクトセンターの研修に動画教材を検討されている他社の皆さまにメッセージをお願いします。
コンタクトセンターで働く方々は、主婦・学生・副業などさまざまな立場の方がいて、人員の入れ替わりもあるので、いずれのセンターでも、対話品質の平準化が課題になると思います。
当社のPIP-Maker導入のきっかけは、コロナ禍における非対面研修のクオリティの担保でしたが、この時の経験を活かし、現在では、対面と非対面それぞれの利点を活かしたトレーニング体制を構築し、一定の効果を得ています。
特に、PIP-Makerの特長であるアバター2体を利用した対話機能は、ロールプレイングとしてコンタクトセンターのトレーニングに非常にマッチしています。対面で相手の目をみて理解度を測るという点を重視しつつ、即時性や時間・場所・マンパワーにかかるコストとの兼ね合いで、最適な使い分けをされることをお勧めします。各社それぞれにあったDXツールを検討される中で、当社の事例がご参考になれば幸いです。
<4COLORSスタッフ一同より>
氏家様、この度はお忙しいところ貴重なお時間、ご意見をいただき誠にありがとうございました。コンタクトセンターにおける研修事例として、運営する側・受講する側双方について詳しくお話しいただき、心より感謝しております。
また、PIP-Makerの特徴をご理解いただき、最適な形でご活用していただいていることに感銘いたしました。
ご期待に沿えるよう、今後もより良いサービス開発し、お客様へのサポートに邁進してまいります。
今回の記事が、コンタクトセンターやコールセンターの研修に携わる皆さまのご参考になれば幸いです。